【感想】りゅうおうのおしごと! 19

ネタバレあり

 本編も残すところあと二冊。いよいよクライマックスのりゅうおしですが、読み終わって棋士とAIという大きなテーマが終わり後は長いエピローグが待っているような感じを受けました。終盤でタイトル回収されたのもその思いに一役買っています。

 《淡路》の見せる将棋の終わりに絶望した八一でしたが、歩夢との戦いで再び人間の可能性を信じる心を取り戻しました。しかし、《淡路》により導かれた『死亡フラグ』はすでに世に解き放たれてしまった後。ほとんどの人間が気付けない中、それに辿り着いたのは椚創多。

 八一は己の後始末のため、将棋の未来を人間の手に取り戻すため、創多との戦いに挑みます。

 そしてその前に身体の回復してきた銀子と結婚の約束も交わしました。守るべきものを背負い竜王としての使命を果たそうとする八一の戦いがとても熱かったです。

 泥臭く師弟関係のはっきりした世代の八一とソフトネイティブ世代の創多との考え方の違いが浮き彫りになったのも気になりました。

 将棋AIが発達すればいずれ棋士はコンピューターとだけ向かい合いその指し方を暗記するだけになっていく、そんな未来を悲しく思う八一の姿にやはり人と人が向かい合い一つの盤を挟む将棋という遊戯の奥深さをあらためて感じました。

 けっしてAIには出現させることの出来ない美しい終局図と、そこに至るまでの二人の思いのぶつかり合いに涙が出ました。

 カット覚悟で吠えた月夜見坂のコメントを絶対に削らないと言ったディレクターがくだんの恋地綸の婚約者という伏線も良かったですし、棋士だけじゃない将棋を愛する人達の熱い思いに触れてグッときました。