【感想】On the Way to a Smile FINAL FANTASY Ⅶ

ネタバレあり

 FF7のシナリオを手がけた野島氏による、本編のエンディングからFF7ACまでの二年間を描いたスピンオフ小説。

 元々のゲームでは表現的にクラウドたちメインの登場人物にしかスポットを当てられなかったり、それ以外の周りの世界で起こっている出来事というのは深く描写することが出来なかったのが、小説という媒体になることでいっそう登場人物達の心情や世界で起こっていたことが深く理解出来、FF7の世界をより楽しむことが出来ました。

 ゲームはバレットたちアバランチが新羅の魔晄開発に反対して破壊工作を目論む場面から始まりますが、その結果起こったプレートの破壊による被害のむごさが幼いデンゼルの目線で語られることでひしひしと感じられました。魔晄開発に反旗をひるがえ すという、当時はヒーローのようにしか感じていなかったバレット達の行動が悲惨な結果を招いてしまったこと、バレットやティファもその事態に最後まで心を痛めていたことが知れていっそう深くFF7の物語を知れました。

 また、ライフストリームの噴出によって蔓延したミッドガル病――後の星痕症候群がもたらした被害もこの世界の人々に恐怖を与えていたことが感じられ、初期の感染するしないすら定かではない混乱した状況は、新型感染症の流行を経験した今の時代に読むとまたいっそう身近に感じられる気がしました。