【感想】#真相をお話しします

ネタバレあり

 全五編の短編集。どのお話も驚きの結末が待っていて面白かったです。

 「惨者面談」「ヤリモク」はなんとなくこういう展開なんだろうなという予想は出来るのですが、最後はそれをさらにもう一捻りしたラストに驚きました。「ヤリモク」はただの快楽殺人鬼というわけではなく、その動機と、だから娘に似た女性をターゲットにしていたというのがなるほどと驚くと同時に不気味で面白かったです。

 「パンドラ」も謎に満ちた美子の言動の理由に驚き、その後はちりばめられていた違和感が回収されるのが面白かったです。唯一穏当な終わり方に見えるのも「そう言ってるけど実は胸の内は違って……」とかなくそうあって欲しいと思います。

 「三角奸計」「#拡散希望」はリモートやYouTubeなど現代的なガジェットが使われているのが印象的でした。

 「#拡散希望」は「すべてがおかしかったじゃないか」という始まりからしてなにか大きなどんでん返しがあるのだろうと思っていましたが、まさかトゥルーマン・ショーみたいなことが行われているとは驚きでした。配信のために子供の人生を使うという怖ろしさ、最後は他人の人生を無責任に投票で決めてしまう見ている人間の怖ろしさもあって面白かったです。

 どのお話もミステリとしての面白さはもちろん、解説で村上貴史さんがおっしゃっているように現代社会を象徴するような要素が盛り込まれているのが実に今のお話という風に感じて面白かったです。