【感想】ひかりの剣1988

ネタバレあり

 若き日のジェネラル速水と清川吾郎。二人の剣士の熱い戦いを描く青春スポーツ小説。

 桜宮サーガに名を連ねる物語ですが珍しく医療ものではなく剣道中心のお話で、登場人物達のまた違った過去も知れて面白かったです。

 主人公の一人速水晃一はバチスタシリーズで血まみれ将軍ジェネラル・ルージュ としてお馴染みの人物。もう一人の清川吾郎はジーン・ワルツシリーズの主要人物とのことですがシリーズ未読なのでここから入りたいところです。

 医学生として大学に通いながら厳しい稽古を続ける姿は高校生なんかを主人公にしたスポーツものとなんら変わらず、剣道にかける気合いがとても熱かったです。

 若き日の高階院長(色々肩書きは変わりますが私はこれがしっくりきます)も登場しその言動は相変わらず玉虫色ですが、速水を始め剣道部の猛者達を軽くあしらう姿はまさに阿修羅の異名にふさわしく格好良かったです。

 部活に対しては不真面目で速水に勝つことだけが目標の清川の前に現れた朝比奈ひかり。彼女の祖父に師事することで清川は成長を遂げ、速水もまた高階の指導により己の鍛錬だけに専念することで同じように成長していく。

 最初の大会ではお互い優勝に手が届かなかった両チームが翌年の大会では決勝で激突し、本当に最後の最後までもつれ込みどうなるか分からない試合を見せてくれたのが熱かったです。

 タイトルの西暦を見れば気付きますが、現在ドラマのシーズン2が放送中のブラックペアンは同時期の出来事で渡海が登場したりちょっとだけリンクしているところも面白かったです。

 チーム全体の底上げを考え縛られていた速水に己を研ぎ澄ませることを指導した高階。しばらくチームを離れた速水が戻ってきた時には周りを振り回すようになっていたのも、この時に後の血まみれ将軍の素地が出来たのかなと感じました。