【感想】近畿地方のある場所について

ネタバレあり

 ベストセラーとなった「変な家」で勢いのあるジャンル、ホラーモキュメンタリーの話題作。

 「変な家」がヒトコワだったのに対し本作はバリバリ怪異が存在するオカルトでこれまた楽しかったです。

 作品は雑誌の記事だったり、読者からの手紙、インタビュー起こし、果てはネットの掲示板の書き込みと色々な内容が寄せ集められて構成されています。一見なんの関係も無いような文章もよく見るとどこかに繋がりがうかがえ、特に近畿地方の●●●●●という一帯にまつわる話として共通点が見いだせます。

 これはあいだあいだに挟まれるライター背筋とその友人・小沢が集めた資料という設定で、これらをもとに二人は怪異の正体に近づいていきます。

 一つ一つが実話怪談としても怖くて面白く、最初は女性を山に誘う怪異かなと思われるものが出て来ますが、徐々に赤いコートの女や呪いのシールなどが登場し事態が複雑になって行くのが面白かったです。

 資料は時系列もバラバラなので、同じ場所で起こった出来事をもう一度時系列順に並べてみるとより理解が進むと思いました。

 掲示板で指示された心霊スポットに突撃しそれを実況するというパートは実際にありそうな書き込みや内容にとても懐かしく感じました。

 やがて怪異の内容が山に存在する神的存在と、子供を失った母親とに大別出来るようになりますがその二つも関わりがあり、さらに謎の石と宗教団体も絡んできて混沌とした事実がぼんやりと浮かんでくるのが面白かったです。

 終盤はライター背筋と宗教団体の関係も明かされ驚きました。

 「リング」の貞子の目的が増殖だったように、今作も令和のリングウィルスとなっていまや20万部も広がってしまったようです。

 柿があると言って女性を誘う声がまるで何かが人の言葉という音を出しているだけで、そこに感情のようなものを感じられないというのを見て、最近読んだSF短編で宇宙を旅する人類をまるで人間のように喋ったり動いたりするけど人間を模倣しただけの感情を持たない器官を使っておびき寄せる星人が出てくる話を思い出しました。

 そして本書を読み終えた後にちょうど背筋先生が出演されたテレビ番組「あの本、読みました?」が配信されたので拝見しましたが、そこで背筋先生は本書はホラーと呼ばれるものに含まれる色々な要素を詰め込んだとおっしゃっていて、そのなかに宇宙人という言葉もありました。

 冒頭、行方不明の少女の話に宇宙人による誘拐なる説も登場しますが、最後、ましらさまの正体について鬼が下るという文字が登場します。普通に考えればオカルトな怪異が顕れたと捉えられますが、背筋先生のこの言葉や音を模倣しただけの誘う言葉を合わせると、ひょっとしてましらさまの正体はエイリアン、なんてこともあるのかもしれないと思いました。