【感想】Re:ゼロから始める異世界生活 短編集 10

ネタバレあり

 本編はルグニカを離れてだいぶ経つのでフェルト陣営の話はもはや懐かしい感じで楽しめました。

 ルグニカの一都市フランダースを牛耳る裏社会のお話で、スラム育ちのフェルトには日の当たるお話よりこういう日の当たらない裏のお話がついて回るのも普段のリゼロと雰囲気が違って面白かったです。堂々としてるフェルトと違ってラインハルトが花街とかに動揺してるのも面白かったです。

 本編ではスバルの力で悲劇も回避してしまうけれど、スバルのいない物語だと人の死は変えられないものというのが強く感じました。未来を夢見て辛い環境を生きていたミモザの命が失われたことがとても悲しく、彼女の未来を守ろうとしていたエッゾの無念がにじむたびに涙が出ました。

 悲しい事件でしたが最後にラインハルトが参加できなかったトメト祭りの雪辱を果たして伏線回収したのが面白かったです。

 ルグニカも裏で陰謀めいた動きが進んでいるようで、スバル達が帰還した先にどんな事件が待っているか楽しみです。

 順調に旅を続けるオメガが遭遇した雪のクローズドサークル。こんな状況に会するメンバーなんて誰も事情を抱えているとばかりにそれぞれの目的や思惑が明かされていくのが面白かったです。

 リゼロの短編集ではたびたびこの意外な真相みたいな展開が見られるので、いつか長月先生の書く本格ミステリーも読んでみたいです。

 いくつかある国のなかであまり語られないグステコ聖王国。新たな仲間を加えたオメガ一行のお話で語られていくのか楽しみです。