【感想】双子探偵ムツキの先廻り

ネタバレあり

 事件を引き寄せてしまう体質を持つ兄妹が行く先々で起こる事件を解決していくミステリー。

 兄妹が持つのは周りの人間の普段「やってはいけない」と行動にブレーキをかけていることのブレーキを緩めてしまい、結果動機と状況が揃えば犯罪を起こしかねないという体質。

 それを自覚しているため兄の青士は行く先々で監視カメラを仕掛けたり事件が起こる前提で行動しており、いざ事件が起こり犯人を問い詰め「証拠はあるのか」という言葉に即座に「ある」と返すやりとりが面白かったです。

 探偵が推理で事件を解くのではなくこうして証拠や、妹の赤音は関係者と話をすることで直感で犯人を追い詰めていくところが特徴的で面白いです。ミステリとして破綻しているということもなく、純粋に謎を楽しめる部分もちゃんとあるのも良かったです。

 偶然出会った探偵八雲迷子とともに大企業グループの相続争いに首を突っ込んでいく青士と赤音。養子ということで疎外感を覚えていた零。イヤなヤツかと思っていた秋人が強く亡くなった龍一郎を慕っており、龍一郎の意志を継ぐ気が見えないということが理由で零の相続に反対していたというのは赤音の言うように意外な方向に熱かったです。一族の厄介者っぽかった虎次も態度はアレだけど本当に零を大事に思っていたというのも意外で、よくある遺産相続を巡るドロドロした殺人事件、ではなかったというのが楽しく裏切られました。