【感想】死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相

ネタバレあり

 都市伝説の好きな方なら名前を聞いたことがあるかもしれないディアトロフ峠事件。雪山で九人の大学生が遭難し遺体で発見された事件ですがその状況と遺体の奇妙さ不可解さから色々な原因が噂される事件です。

 本書はそんなディアトロフ峠事件に興味を惹かれた映画作家の著者が関係者に取材し、果ては現場となったディアトロフ峠まではるばる足を運んで事件の真相を解き明かそうとしたノンフィクション。

 読み始めるまでは証言や証拠を並べたような難しい内容なのかなと思っていましたが、実際はオトルテン山を目指すディアトロフ達、遭難したディアトロフたちを探す捜索隊、そして事件の謎を追うドニーの三つの視点が交互に描かれ運命の瞬間へと向かっていくスリリングな読み物としてとても読みやすく(慣れないロシア系の人名・地名を除けばですが)、面白かったです。

 政府の陰謀やUFOや宇宙人の仕業とまで言われるこの事件、著者はあくまでそれらは陰謀論であると科学的な原因を探すスタンスです。

 本書の内容は以前「ダークサイドミステリー」というテレビ番組で取り上げられており、その回はかなり本書に沿って作られていたんだなというのがわかりました。結論がカルマン渦により発生した超低周波音であるというのも記憶の通りでした。

 もちろん結論は著者の推理であり真実は神のみぞ知るですがこうして未解決の謎に光が当たって真実に近づいていくのは興味深いです。