本書はオカルトを肯定的に紹介する都市伝説本とは違い、昭和のオカルトブームをテレビが牽引した“やらせ”だと断じたうえで日本中が巻き込まれた懐かしい思い出をあらためて振り返る内容になっているのが面白かったです。
まえがきで語られているように日本中が熱狂した今では信じられないオカルト(当時はUFOもUMAも心霊もひとまとめだった)が流行った背景にそれまで民俗的だった日本の怪談や妖怪とは違う科学的な内容が斬新にうつったというのがなるほどと思えました。“戦後という時代の「青春」”という表現はぴったりだなと思いました。
ブームの仕掛人である矢追純一氏や山口敏太郎氏のインタビューもあり、当たり前のようにいかにブームを作ったかというのが赤裸々に語られているのが小気味よい。元オウム真理教の上祐史浩氏のインタビューも載っているのが驚きました。
昭和の時代はロマンに溢れていたオカルトも次第に霊感商法やカルトの問題化で眉をひそめられるようになり徐々に姿を消していくことになることもブームの到来から全盛期、そして終焉へとだんだん話題が変わることによって時代の流れを感じられてエモかったです。
「知れば知るほどヤバい都市伝説」ではオミットされていた写真も収録されていて目で見ても楽しかったです。