シリーズ新作「あなたが誰かを殺した」の発売に合わせて三部作とも言うべき過去二作が新装版で登場。
シリーズとしては加賀恭一郎シリーズですが単巻で読んでもまったく問題ありませんでした。
クライマックスで探偵役が犯人を指摘するという推理小説お決まりのシーンがなく二人の容疑者のどちらが犯人なのかは明かされないままというのは事前情報で知っていたのですが、確かに二人のどちらもが犯行可能だろうという感じでしっかり読み込まないと分からなさそうです。
破壊にメッセージがあるという加賀の言葉や最後のゴミ箱のやり取りからして弓場が康正に脅され飲む時に破った睡眠薬の袋が現場にあったものと破られ方が同じだったのかと推理しましたが、逆に破り方が違うという証拠にもなるのかと分かった気になっていたのがますます混乱しています。
この感想を書いている時点ではまだ解説を読んでいないので楽しみです。
第一章で園子と容疑者二人の関係は読者には明らかになりますが、それを知らない康正が事実に近づいていくところ、そしてさらに周回遅れのはずの加賀もその鋭い洞察力で事実を突き止めていくのが面白かったです。最後は読者にも明かされていなかった園子の闇の部分も出て来てなんだかやるせない気持ちになりました。康正を信じる加賀と加賀と関わることで復讐心の揺らぐ康正の心境も良かったです。