【感想】赤虫村の怪談

ネタバレあり

 実話怪談とミステリのハイブリッドシリーズ第二弾。前作の中で今作の件と思われる記述があるのでシリーズとしては並行して進んでいた事件のよう。

 今回もホラーとミステリが見事に融合していて、ある村の有力者一族が次々と死を遂げるのですが一見人間業には見えない状況には村で囁かれる数々の妖怪の仕業と関連付けてしまいます。実際には警察も捜査を行いますし叫子達も一連の事件は人の手による殺人と疑いませんしホラーなのに最初からオカルトの仕業にしないのが面白いところです。

 また今作はクトゥルフ神話をモチーフにしており苦取くとる 神や無有ないある など多くの固有名詞がオマージュになっているのも面白いです。有名なものくらいしか知らなかったので解説を読むとそもそも舞台である赤虫村という名前ももじ りだそうですし、多くの登場人物も関連する名前が付いていたのを知りクトゥルフ神話を読んでみたくなりました。

 怪異が実在する世界観なのでどこまでが人の仕業でどこからが怪異の仕業なのか、怪異の正体はどこまで明らかになるか気になって読み進めました。

 一見人間業に見えない犯行もしっかりトリックがあり面白かったです。この村特有の信仰を利用し最後の密室トリックのため見立てを続けていたというのが今作ならではの謎解きでした。

 一連の事件の犯人は明らかになりますがそこからさらに犯人が謎の事故死を遂げたり犯人に犯行計画を授けた黒幕の存在も匂わされたり最後まで楽しめました。

 シリーズ続刊も予定されているようで楽しみです。