およそ20年の時を経て公開された劇場版ガンダムSEEDの小説版。著者はシナリオにも参加しテレビ版の小説でも筆を執った後藤先生。
私も公開直後に劇場に足を運んだので作品自体の素晴らしさは言わずもがなですが、なんといっても小説ならではの登場人物達のスクリーンからは分からなかった心情が知れたのがとても良かったです。
序盤はデスティニープランを止めたキラの葛藤と、それを止めた責任を全て一人で背負い込もうとする苦しさがとても伝わってきました。
また、大戦の英雄やアイドルとして偶像視されるラクスもそれを嫌い表舞台から姿を消した結果ミーアに悲劇を招いたことを悔やみ、コンパスの総帥 という立場となることで逃げないことを決めたというのがキラと静かに暮らせない辛さを感じました。英雄でもなんでもない普通の女の子なんだなと感じました。
ファウンデーションに招かれた後のエルドアでの戦いは劇場では戦闘の勢いであまり把握出来ていなかった戦場の状況がよく理解出来て良かったです。
二度の大戦を生き延びた不沈艦アークエンジェルの最期は劇場では思わず涙がこぼれました。思えばテレビ版の最初からキラ達と一緒に常に物語にあったアークエンジェルをムウと同じように家のように思っていたのだと思います。
上巻はキラ達がファウンデーションにいいようにやられてどん底に落ちるところで終了。ここからの熱い反撃も映像を思い出しながら楽しもうと思います。