【感想】非科学的な犯罪事件を解決するために必要なものは何ですか?

ネタバレあり

 異能が一般的ではない現代日本。都内では連続誘拐事件が世間を恐れさせていた。人の精神に干渉することの出来る主人公・佐取燐香は異能の関わる事件を追い警察内でも変人扱いされている神楽坂と出会い、平穏な日常を送るため神楽坂に協力し事件の解決を目指す。

 主人公の燐香が正義感に燃えるタイプではなく自分の周囲に害が及ばなければ極力関わりを避けようとするタイプで、神楽坂に対しても簡単には心を開かないし、善意の第三者のとった行動が自分の計画に邪魔であれば率直に心の中では悪く言うという、善性ではない(けれど悪というわけでもない)のがあまり見ないタイプの主人公で面白かったです。

 相棒の神楽坂は逆に正義が服を着て歩いているような、ザ・警察官というタイプで真逆なコンビが面白かったです。

 連続誘拐事件は異能者が関わっていることが分かり燐香と神楽坂の活躍で無事解決。

 神楽坂が持ち込んできた未解決事件を異能は関わっていないと切って捨てる燐香は能力を示すためにとあるひき逃げ事件を解決することに。

 警察官僚の息子が起こしていた事件は隠蔽され別の犯罪者を犯人として仕立て上げるという大きな不祥事を神楽坂は脅迫されながらも暴き立てます。

 異能者の存在はとても珍しいという設定で、ほとんどの未解決事件に異能は関わっていない、異能が関わる事件を引き当てることはほとんどないというのも良かったです。

 異能バトルと警察小説が合わさったような作品でとても面白かったです。

 しかしラストは謎の異能力者による殺人が発生。神楽坂が追う異能を信じるようになった原因の事件や昏睡状態の婚約者など続きが気になります。