単行本版は既読ですが文庫版にて再読。
初めは子供を使って殺人の依頼を遂行する職業殺人者のお話かと思われたのが謎を解いていくにつれ因習に取り憑かれた一族の話に変わっていくホラー感が面白いです。
しかしオカルトな話かと思いきや、その儀式を伝えた呪術師が跡目争いのため仕込まれた縁者で儀式も根拠もなにもないでっち上げという、結局人間同士のドロドロとした欲が元凶でオカルトなんざ絡んでいない話だったというのが一番ホラーでした。
文庫版となり作中に登場する栗原さんのあとがきが追加されましたが、間取りから始まった物語らしくただ言葉で補足するのではなくちゃんと間取りに絡めたうえでの慶太氏の手紙が果たして真実なのかという憶測はさらにゾッとしました。
愛の力でめでたしめでたし、なんて“こんな”物語がそんな終わり方するわけないだろう? という栗原さんの声が聞こえてきそうです。