先日書店に立ち寄った時に東京創元社さんの70周年フェアでシャーロック・ホームズが初登場する作品「緋色の研究」の限定カバーを見つけて購入したところ、原題が「A Study in Scarlet」であることを知ってなるほど『本格の研究』 の元ネタはこれなのかと今更知りました。
閑話休題、今回もとても面白く、本格的にすいほろの物語が動き出したという夜方先生の言葉に納得しました。これからメインヒロイン一人一人に焦点を当てた物語が描かれると思いますが楽しみです。
古い言い伝えが残る島といういかにも何か起こりそうな舞台に万桜花 の屋敷にはいかにも裏がありそうな使用人達。そこで行われる神事で殺人事件が起こるというミステリとしてはこれ以上ないシチュエーションにワクワクしました。
遺体発見現場と殺害現場が違うのは分かりましたがどうやって移動させたのかはギリギリまで分かりませんでした。犯人も一目散に祠に向かった内木だと思ったので大ハズレ。
今回も理耶 の力で生まれた怪物とのバトルがありましたが、さらにイリスの物語である『真理の九人』とのバトルもあり熱かったです。
前回不明だった雨名 の異能も明かされ彼女の物語も気になるところです。雨名で印象に残ったのは祭りの射的で獲ったぬいぐるみを迷うことなくイリスにあげたところです。雨名のイメージなら姫咲 に捧げそうなところを彼女に言われたでもなくイリスにあげるところが意外で、本当はすごく優しい人なんだろうなと感じました。
兄を喪ったイリスの過去も明かされ、幸太を兄の代用品としているというハングリィのゆさぶりに対する幸太の、お兄さんの代わりでも構わない、そんなことは関係なくてただイリスが大切な存在なんだという言葉が泣けました。もっとも、これはハングリィの異能でイリスが視た虚構だったのですが、本物の幸太もきっと同じ事を言ってくれていたと思います。
いよいよクライマックス、名探偵登場で虚無の異能を無に帰す展開が面白かったですが、その際の「証拠を見せてください」「ちょっと待って」「早く」「いやだから……」みたいなやり取りがコントみたいでクライマックスの緊張感とのギャップが可笑しかったです。
理耶と幸太の過去の繋がりも匂わされ次はどんな事件が待っているか楽しみです。